10話 愛人

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私の部屋、テレビ置けた。 できれば次は洗濯機が欲しい。 仕事も暇な日、少なくなってきた。 お弁当食べても大丈夫みたい。油断禁物だけど。 モデルと愛人でなんとか普通な生活になってきた。 ショーの時みたいなギャラあったら嬉しいんだけどな。 あと、カーテンを遮光カーテンに変えたい。 なんだか女1人で1階って、危ないかも。 外に干した下着がたまに無くなってた。 このアパート、ただでさえどん詰まりにあって、1階が申し訳ない程度のブロックでの囲いだから、遮光カーテンでないと、夜に光が漏れて、怖い。 下着は風に飛ばされたのかもしれないけど、たびたび無くなるっておかしいよね。 お金、欲しいな。 やっと大きな仕事きた。 誰かしらんけど、歌手のPVで、体のライン出せる子でと! ギャラいいはず!!やらねば!! ………基樹。 なんで今更、基樹のPVなの? 指名じゃないから、基樹にも偶然だったと思う。 ベッドに裸で横になって、足絡めるちょとエロなカット。 私は先にほぼ裸状態で監督さんに動きの説明受けてた。 ギャラ!!仕事!!頭切り替えなきゃ!! 「おはようございます!」 「おはようございます!」 「基樹さん、入りましたー!」 ヤバイ、心臓飛び出しそう。 仕事仕事仕事仕事仕事仕事仕事仕事仕事!!! 基樹が入ってきた。 挨拶挨拶挨拶挨拶挨拶挨拶挨拶挨拶挨拶!!! 「……おはよう、ございます……よろしくお願いいたします」 「……香織?!」 やっぱり偶然みたい。凄く驚いてる。 私をじーっと見てる。監督さんが話かけても見てる。メイクの人が声かけても見てる。 「でね、恋人同士のように絡みながら、基樹くんがキスしようとして終わりね。……基樹くん、聞いてる?」
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