10話 愛人

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スタジオのセットじゃないから、本当にホテルの1室借りた場所だから、スタッフは片付け中。 人がどんどん居なくなって、照明機材もなくなったら、下着替わりを脱がし出した。 ぎゃあああああ!! 監督ーーっ!こいつも引き上げてーーっ! 田辺さん、誰も居なくなって、ドア閉めた。 「……香織、香織、んっ、」 またキス。深い深いキス。舌入れてきた。 我慢できるか!! 「基樹!…はあっ、基樹!…触って…撫でて…基樹…」 基樹の手に任せた。基樹の指に溺れた。 基樹は私の体中、撫でて肌を舌でなぞった。 こんな愛しく感じたの、ない。 こんな求めたの、ない。 基樹だから、基樹だから、欲しい。 ああ、やっぱり基樹じゃないと、私ダメなんだ。 基樹としたい。基樹しか要らない。 「…はあっ、香織、思いきりやるからな。…しがみついてろ」 黙って頷いた。 基樹が入ってきた瞬間に、もう体中、が溢れた。 体も心も。 「んあああっ!…基樹、あああっ!基樹!…気持ちいい!!」 「はあっ、はあっ、当たり前だ…んう、気持ちいい!!」 この一瞬だけでいい。贅沢は言わない。今だけでいい。 本当に思いきり私を突き動かした。 「やあああっ!ああっ!んんう!イク!イっちゃう!!ああっ!!」 「ビクンビクン…やめ、…早い!…無理!んんう、イク!んああっ!」 思いきりイった。 「香織…行くなよ……許せないか?」 「許してるよ………基樹が幸せなら、それでいいよ」 「戻ってきてくれないか?……お前いないの、無理。俺が無理」 「………ナナミさんは?…毎晩のように来るんだよね?…彼女にしたの?」 「……」 何も言わない『答え』嫌い。 振ってあげる。そうしたら楽だよね? 「……私、今、『愛人』やってる。生活の為。…だからもう『香織』居ないよ………」 「………バカ!!じゃあ俺が囲ったるわ!!月にいくらだ!!このバカ!!30か?40か?50か!!!テメ俺以外とするなって言ったろーが!!また貧乏生活してんのか!!!」 …………誰かこのバカなんとかして!
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