10話 愛人

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「月、50だ!バカ!」 「50だな!!わかった!!その代わり、今、ここで俺の前で『愛人契約』破棄しろ!!!」 「本当に私を囲うなら、堂々とナナミの前でもやるからね!!」 「俺がしたるわ!!50か!!安い女だな!!」 ムカついた!!本当に目の前で弘輝さんに電話してやった。 当たり前だけど仕事中だから留守電に転送された。 「弘輝さん、ごめんね。私、やっぱりもう無理だから、これで終わりにする…勝手でごめん。…気持ちだけ、いっぱいいただいたから、それで充分だから、本当にありがとう。…ありがとうね」 「……誰だよ?『弘輝さん』とか下の名前で呼び合ってんじゃねえよ!」 「解除したわ!いちいち文句言うなら『愛人』なんかやらんからな!」 「明日50払ってやる!電話出れるようにしとけよな!!」 「契約するならします!『仕事』ですから!せいぜい週刊誌に載せらんないようにしなね!」 「ナナミで充分叩かれてるわ!!アイツの売名行為じゃ!!」 「条件は?!私はね、モデルの仕事邪魔しない事!!」 「それでいいわ!俺も毎日暇じゃねえからな!とりあえず明日50振込んでやるからな!そしたら俺に囲われてろ!!」 「わかった!!じゃあね!!」 ……………基樹の為に離れて、基樹の『愛人』で戻る事になりました。 私はきっと、真正のバカです。 基樹の着信拒否を解除した。 次の日、本当に50万振込まれてて、私は『基樹の愛人』になった。 基樹はナナミさんと噂されてるから、私がマンションに行っても噂の『う』にもならなかった。 待ち構えてる週刊誌のカメラマンとか見たけど、私なんか目にも入ってないみたい。
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