第2章 日課

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次の日、小学生の頃から仲のいい透子に移動教室の合間に聞いてみることにした。 「この学校で有名な人っている?」 「なに急に? ユーチューバー的な人のこと言ってるの?」 私の急な質問に透子は面食らったような顔をしている。 「そうじゃなくて、例えば……お面つけて学校来てる人とか……」 「はあ? 何それ? 有名って言うか、それ変な人じゃん。そんな人見たことないけど」 「だよね。そうだよね」 お面つけて校内歩き回っている人がいたら、絶対一回は見つけているはずだ。 笑ってこの話を終わらせようとすると、透子が閃いたとでも言わんばかりの表情をする。 「でも待って……。有名な人っていうか、すごい怖いってみんなから言われてる人はいたよね」 「え? 誰?」 怖いってことは、あのウサギのお面の人とは別人だよね。あの人、怖そうな人じゃないし。 「顔が強面で、ほら咲良も見たことあるじゃん。っていうか、その人にぶつかってたじゃん」 「えー? ぶつかったっけ?……誰だろう」 一生懸命自分の記憶を辿ってみるけど、一向に思い出せそうにない。 幼少期から中学校の頃まで記憶を遡らせて唸っていると「すごい怖かったから、忘れるようにしたんじゃない?」と透子は笑った。 確かに怖かったことはなるべく早急に忘れるようにしてるけど。 必死に空っぽの頭をフル回転させてみる。 ……駄目だ、それでも思い出せない。 でもあの人とは、別の人だろうし思い出して得することはないよね……。 そう思い、一瞬でこの会話を忘れようとした。 すると、後ろから冷たくて低い声が聞こえ、驚いて肩が飛び上がる。 「そこ邪魔」        
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