プロローグ

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誰もが皆、平等に愛されると言いながらも 愛はとても不平等だと、先日オレは知った。 あの人は愛してくれてたと思ってたしオレも愛していたのだけれど。 日を重ねて行くにつれ、あの人はオレを見なくなり気が付けば女を孕ませて結婚して行った。 二年の歳月が一瞬で崩れゆくガラスの様に砕け終わった瞬間だった。 ホント、不平等だよな...。 ワンルームの部屋で、先日別れた...いやオレを捨てた男の事を思い出して舌打ちを零した。 オレは男で好きになる対象も男で付き合って貰ってたのももちろん男だ。 普通にホモと言われる部類の人間で、結構肩身を狭くして生きている。 「あーやりてぇ...」 ずっと抱かれていない身体は、やっぱり相手を求めて疼くし、特にオレに限っては精液を吐き出すだけでは足りない。 あの男がくれた、初めての経験は今もオレを侵食してて、抱かれる喜びを覚えたらもう普通が何かなど境界線すらわからなくなる。 時間が過ぎると、甘い期間はあっと言う間に去り、それに合わせたかのように身体も事務的に簡潔的に交わるようになった。 ローションだけで解しもしないオレに穿った男もまた、快楽に顔を歪ませて達する時には〝好きだ〟と言ってくれた。 そんな薄暗い過去に囚われてオレは渋々ながらもハッテン場と呼ばれる場所へ足を向ける。 そして、相手を見つけては性欲の解消をしていた。 鬱蒼と茂る木々に隠れて行為を楽しみ終われば後腐れもなく去っていく。 「あぁっ...はっ...はっ...ん、もっと擦って、んんっ、いいっ」 オレの声に後から刺し込む男が喉奥を鳴らして笑う。 「随分と、はっ...淫乱だなっ!」 深く突き刺さる快楽に互いに身を震わせた。 そう言いながら、オレを抱き終えると身支度を整えて、去っていく。 3ヶ月に1度程か...そういう身体だけの関係を持ち、その度にHIVや性病の検査を受ける。 今の所は、引っかかった事は無い。 不特定多数とする場合は感染する危険も伴うから、罹患者の見極めは大変なのだ。 オレの命は、もう必要無いものだから罹患したら大人しく家に引きこもろうと思ってた。 心配する家族もオレはいないから。 まさに世捨て人だよな。 そんなオレが、ある日生き物を拾った。 そんな話だ。
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