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「それで、わたしたちはいつ宣戦布告するわけ?」
事の重大さとは反対に軽い口調で晃実は訊ねた。
「すぐにでも」
恭平は短く答えると、晃実を気遣わしそうに見つめた。
が、その顔によぎる感情は何もなかった。
迷いも恐怖も憎しみも、そして哀しみさえも表れない。
それだからこそ、恭平はよけいに心配なのだ。
なぜなら、恭平自身も同じであるからだ。
表情には出さない。
内にはあらゆる感情が入り乱れ、いつ狂ってしまうのだろうかと思わずにはいられない。
大きすぎる怒りがその歯止めとなっていた。
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