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恭平は晃実にはない異能力を持っている。
その逆もまた然り。
恭平は未来にある阿鼻叫喚を予知し、それが起こったときに感知する。
それは途方もなく強い恐怖で、発狂寸前の慟哭となって恭平を襲う。
知ろうとしてその予知力を使うわけではない。
時間も場所もそして状況も関係なく、ふいに防ぎようもなく目の奥にその情景が飛びこんでくる。
幼い頃は、その衝撃から完全に立ち直るまで何日も要したが、恭平は成長するごとに抑制を身につけ、いまではだれにもその瞬間を気取られることなく平常心でいられるようになった。
恭平はどれだけ強くなったのだろう、と晃実は思う。
その力は消えていないのに。
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