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「ああ。いいか?」
問いかけではなく、実行の合図となる確認の言葉に晃実はうなずく。
「晃実は僕を補足する程度の力を貸してくれればいい。あとの“再生”を任せるよ」
「わかった」
ふたりは線路脇に降り立つと、恭平は積もった土に手を置き、晃実は恭平の肩に手を添えた。
十車両のうち先頭の一両目から二両目までは完全に土砂のなかだった。
サラリーマンやOLたちの帰宅時刻に重なり、たくさんの乗客たちが乗り合わせていた。
自力で脱出している人も出始めている。
彼らは横倒しになった車両から這いでることに必死で、晃実と恭平にはまだ気づいていない。
ふたりは精神を集中した。
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