第2話 奇跡

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ヘリコプターが上空を旋回し、泥土が積もっていく場所の隣にある水田に着陸した。 当然、搭乗員の驚愕が感じとれる。 あとを恭平に任せ、晃実は埋もれていた車両の横に立った。 横倒しになった車両の天井を、晃実は粉と化して除去する。 「自力で動ける人は早く出て!」 晃実の強い口調に幾人かが反応を示し、よろけながらも躰を起こして自力で外へと脱出した。 はじめて目の当たりにする被害者たちは、泥に塗れ、その泥には所々赤黒い染みが滲んでいて無残だ。 それでも躊躇はしていられない。
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