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雄士はおもしろくなさそうな表情で粋を見やる。
「粋……そうやってなんでもわかりすぎると人生、詰まんないよ」
晃実は渋い顔をして進言した。
「詰まらないなんて思ったことありませんよ。特にいまは、ね」
「どうして?」
「おまえがいるから、だとさ」
雄士は視線で晃実を指しながら、粋のかわりに答えた。
「……どういう意味よ」
褒め言葉ではないことは明白で、晃実はむくれる。
「誤解しないでください。正確に云えば、晃実を取り巻く状況に興味を持っているんですよ。もちろん、ボク自身も含めて」
「……ふーん……」
端から粋のまともな答えを聞けるなどとは思っていなかったが、それでも晃実は納得がいかないといった相づちを打った。
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