第7話 辻と褄

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「そんなことはありませんよ。それどころではなかっただけのことでしょう。その件はおれが調べます」 電話を切ると雄士は佇んだまま考えこんだ。 「雄士、どうかした?」 雄士は心配そうに問いかける晃実に顔を向ける。 何かが見えそうだった。 カウンターの向こうで晃実とともに食器を片づけている粋に目を向けると、挑むように見返される。 聞いていたに違いなく、雄士はわずかに顔を歪めた。 「いや――」 ――ユ――ウ――――ッ! 雄士が云いかけたのをさえぎるようにその“声”が割りこんだ。 地鳴りのように鈍い音が振動とともに足もとに伝わって、どこまでも揺るがし、空間は淀み、禍々しい空気が瞬時にして広範囲に行き渡っていく。 三人は顔を見合わせた。
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