第1話 異能力

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 第1話 異能力

「うるさいなぁ」 少年はわずらわしそうにつぶやいた。 その隣にたたずんでいる少女は、それを聞いてくすっと笑った。 広い公園のなかにある噴水の向こう側で、さっきから高校生らしき恋人たちが痴話(チワ)げんかを繰り広げ、その声がふたりの耳をにぎわせている。 公園は、南側の入り口付近にアスレチックや砂場があり、続いて遊歩道に囲まれたくぼみに、野球が余裕でできるほどのグラウンドがある。 木々も植樹されていてやたらと緑が多い。 ジョギングコースとなっている遊歩道を奥へと進むと、噴水や芸術的な水路が数体のオブジェとともに造成されて所々にベンチが置かれている。 少年と少女はいまそのベンチの一つに座っていた。
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