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ゆさゆさ揺れるヌコリンの頭の上は、けっこうワタシのお気に入りだ。でもなぜか背中には乗せてくれない。
「……今はダブルぴよシックスの勇気が羨ましいと思う時があるニャ」
その背中は、誰かの特等席なのかもしれないピョ……。
「──ニャニャ!? こら寝るなダブルぴよシックス! 貴様の家に着いたぞ、奥さんが来る時間だニャ!」
野里家の庭にはたくさんの花々がある。夏の今はあの出会いの時と同じ朝顔も。
まどろみの中、庭の朝顔の葉の上に可愛らしい雫がひとつ。……ふたつ、みっつ。
「……まあ、ヌコリンさん。またウチのタッくんと遊んでくれたのでつゆ?」
愛しい声が聞こえる。
ワタシが、レモン色の憂鬱からタッくんに戻れる時。
「ニャアあさつゆ姫。すまない、少し飲ませ過ぎたようだ」
ポテッと地面に落とされる感覚。
でも下は芝だし、モーマンタイピヨ。……ちょっと動けないだけ。
「いえいえ、大丈夫でつゆ。さあレナ、ミク、パパを起こして。ちゃんとヌコリンさんにご挨拶してって」
「パーパー。レナ、来たつゆー。おーきーてー」
「ミクもきたつゆー♪ どーん!」
お腹に感じる重みと耳を震わす可愛らしい声。妻によく似た、二つゆの宝。
ワタシはダブルぴよシックス。国家安保マル秘機関のエージェント、いつでも死と隣り合わせ。
だがワタシは……世界一の幸せ者だ。
【愛しき日々 おちまいプギ♪】
タッくん、お誕生日おめでとう♪
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