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(眠い……これで眠眠爆破、何本目ピヨ……?)
その時ワタシは、とある民家の庭先で3日3晩の張り込みを通り越したところだった。
この家で、ダークな取引があることは調査済み。その現場を押さえ、我が組織の為にブツを差し出すか、あるいは死か……家主に選ばせるのが任務。
庭にワタシのような小っこいピヨコがウロウロしていても、おそらく誰も怪しむ事はナイ。
だが、ただのピヨコと侮るなかれ。
ワタシはこの国の平和を裏で担う、国家安保マル秘機関のエージェント。コードネームはダブルぴよシックス。
裏の世界の者たちは、ワタシを『レモン色の憂鬱』と呼ぶ……。
(あぅ……お腹痛くなってきたピヨ。やはり眠眠爆破の飲みすぎか)
眠気覚ましドリンクの空ビンで作ったピラミッドを流し見てワタシはひとりほくそ笑む。
そう。ワタシのようなかわゆいピヨコが他人の敷地で用を足そうとも、誰も怪しむものはない……。
(……んん?)
急を要するミッションの為、密やかに尻尾を草むらに向けた時、ワタシの目に不思議なものが映りこんだ。
(なんだピヨ、あれ……)
朝もやにけぶる庭先。
群生する朝顔のひと葉に、何かがチョコンと乗っかっている。
けれどその姿形はうっすらと透き通っていて、視力5.0のワタシでもはっきりとは識別できない。
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