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「──ダブルぴよシックス。なぜ貴様は隙あらばそうして奥さんとの馴れ初めをオレに語りたがる。どうでもいいニャ」
「そう言うなピョ、ダブルにゃーセブン。……ヒック。言いふらしたくても他に言える者がおらんのだから仕方あるまい。ピョピョピョ♪」
ワタシは同僚のエージェント、黒猫のヌコリンの頭の上に乗ってほろ酔い気分。
こやつもワタシと同様表の顔と裏の顔を持ち、仔猫の方が敵を欺けると言ってBボタンを押した、己の使命に忠実な漢。
コードネームはダブルにゃーセブン。
『漆黒の贖罪』または『黒いプレミアムフライデー』などと呼ばれる。
「飲みすぎニャ。マティーニ一杯の約束ニャったのに、誕生日をいいコトにしこたまオレに奢らせやがって」
「まあまあ……おかげで寂しくない誕生日だったピヨ……ヒック」
ヌコリンのヒゲがピクピク動いた。
「ニャア……寂しいと言ってもそれは夜だけのことだろう。もうすぐ朝だ、あさつゆ姫が現れる」
クールを信条とする漢だが、その実、情けに弱いのが弱点だ。ソコを敵に突かれたらどうする。
「オレは最初は反対だったニャ。エージェントが家庭を持つなど、エゴ以外の何物でもないと……。だが」
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