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隣の芝生は青く見える
年を重ねるたび、微妙な人間関係は増えていく。
今50メートルほど先のベンチに一人座っている久遠燈彦(くおん ともひこ)もその一人だ。
久遠は友達?
いや。友達だった時もあるが今は知り合いという括りだ。小学校が同じでその頃は間違いなく友達だった。中学も同じだったけれど、クラスが違った。中学校は色々な小学校から人が集まってくるからお互い新しい友達ができ、常に一緒に居る人たちも変わった。
最初は廊下などで顔を合わせば言葉を交わしたりもしていた。そのうちそれが会釈になり、目配せになり。最後はお互いの目を見るけれどなんの反応もしなくなった。
そうやって三年も経ってしまえば今や立派に友達から知り合いに降格となる。
お互いに。
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