第1章 受験勉強は、ほどほどに

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「双子が離れるのは、ちょっと残念だよね」 私が卵焼きを箸で刺して口に入れながら言うと、仁美は微笑んで、 「でも、まだ2年なんだから、双子がいなくなるのはまだまだ先でしょう?その間に気が変わるかもしれないしね。それより、秋永隼人よ!どこの大学行くの?」 と尋ねてきた。私は首を捻って、 「都内の大学もいくつか受けるんだけど、京都の大学も受けるみたい」 と少し落ち込んで残りの卵焼きを飲み込んだ。春海は驚いて身を乗り出すと、 「京都?!遠距離?大丈夫?」 と言って私の顔を覗き込んだ。 「やだよ。やだ!!でも、私がやだって言うと、隼人、困るよね。…言えない…」 私はそう言って、言いながら落ち込んでしまうと、仁美と春海は顔を見合わせてため息をついた。
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