第1章 受験勉強は、ほどほどに

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「家の前で待ってても、なんか現れなくて。家に帰ってないの?」 「…家、出たよ。一人暮らししてる。知らなかったの?」 「家、出たの?!生活出来るの?!」 あたしの肩を掴む力が更に強くなって、 「痛い、痛い!!離してよぉ!!」 と思わず先生の腕を離そうとして身をよじるけれど、先生の力は中々強くて離れない。今度はあたしの方が半泣きになって来た。そこに先生の後ろから先生の肩を掴む手が見えて、 「離せよ、おい」 と声がするとあたしは顔を上げた。先生の手があたしの肩から離れると、先生も振り向いて、 「松嶋容?」 と言って眉を顰めた。 「容??」 隼人だと思った。容は先生の肩を引き寄せてあたしから離れさせると、今度はあたしと先生の間に入って、 「麻季さんを巻き込まないでよ。先生。麻里さんと先生のことで、麻季さんを巻き込むとまた荒れるんだから。隼人も黙ってないからな」 と言いながら先生を睨みつけた。
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