33人が本棚に入れています
本棚に追加
「家の前で待ってても、なんか現れなくて。家に帰ってないの?」
「…家、出たよ。一人暮らししてる。知らなかったの?」
「家、出たの?!生活出来るの?!」
あたしの肩を掴む力が更に強くなって、
「痛い、痛い!!離してよぉ!!」
と思わず先生の腕を離そうとして身をよじるけれど、先生の力は中々強くて離れない。今度はあたしの方が半泣きになって来た。そこに先生の後ろから先生の肩を掴む手が見えて、
「離せよ、おい」
と声がするとあたしは顔を上げた。先生の手があたしの肩から離れると、先生も振り向いて、
「松嶋容?」
と言って眉を顰めた。
「容??」
隼人だと思った。容は先生の肩を引き寄せてあたしから離れさせると、今度はあたしと先生の間に入って、
「麻季さんを巻き込まないでよ。先生。麻里さんと先生のことで、麻季さんを巻き込むとまた荒れるんだから。隼人も黙ってないからな」
と言いながら先生を睨みつけた。
最初のコメントを投稿しよう!