第1章 受験勉強は、ほどほどに

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あたしは驚きながら、容の背中に隠れながら先生の顔を見てみた。 「お姉ちゃんのこと、まだ好きなの?先生」 あたしが尋ねると、先生はあたしを見て哀しそうに微笑んで頷いた。 「俺は、麻里さん一筋だよ」 その言葉が、聞きたかった。あたしも微笑んで頷くと、 「それ、ちゃんと伝えてね。麻里ねぇ、先生のその誠意を待ってると思うから」 と言うと、先生は少し驚いてあたしを見つめると、 「そう…だな。伝えないとな。麻里さんのこと、諦めたくない」 と言って、教室に戻っていった。あたしは、やっとため息をつくと、容が顔だけこっちを向いて、 「裾、離してくんない?」 と言うと、あたしは我に返って容の背中の裾を掴んでいたことに気がついた。
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