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「おおー、尚哉!久しぶりじゃん!」
「え、お前だれだっけ?」
「オレだよ!覚えてねーの?」
「冗談だって!わかるっつーの」
ふざけ合う声がこちらまで聞こえてくる。
尚哉、来れないかもって聞いてたけど、来たんだ。
「将生は?」
「ああ、アイツ今、外で電話中」
「悪い、待たせた」
少しして、将生が尚哉の後ろから顔を出した。
イケメン二人が並ぶと、女性陣が色めき立つ。
将生も、来てるんだ…。
「…実はさぁ、花音が来るかどうか、二人に聞かれたんだ。
あんまりしつこいから、来るって話しちゃったの、ゴメン!」
表情を曇らせた私に、亜佐美が拝むように手を合わせる。
「いいって、そんなの」
とは言ったものの、やっぱりちょっと気まずい。
幼馴染の尚哉と、その親友だった将生。
二人に会うのは、成人式以来だった。
大学進学を機に、実家を離れたせいもあるけど、
疎遠になっていた理由は、それだけじゃなかった。
私が二人を遠ざけて、距離をおいたからで。
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