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「ほら、あのコってさ、いつも二人の傍にくっついてたコだよね?」
「ああ。幼馴染とか言ってたけど、ホントにそれだけ?」
「いいなー、私もイケメンに挟まれてみたいわ」
ああ、また始まった。
周りから聞こえてくるヒソヒソ声。
聞き覚えがあるフレーズばかりで、懐かしささえ覚える。
いくつになっても、女の嫉妬ほどコワイものはない。
でも、私だって、あの頃とは違う。
こういうときの対処法だって、少しは学んだつもりだ。
それは!
さわらぬ神に祟りなし!
逃げるが勝ち!
要は、関わらなきゃいーのよ。
とりあえず化粧室に避難して、やり過ごそうか。
「ゴメン、私、」
「じゃあ、また後で」
言いかけた言葉は、将生の声に遮られてしまった。
拍子抜けしていると、二人が両脇をすり抜けて行く。
将生は私の肩をぽんと叩いて、
尚哉は思いっきりウィンクして。
そのまま会場の中央へと進むと、
遠巻きに見ていた女性陣が、あっという間に取り囲み、
何重もの輪を作った。
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