オイラの縄張り

8/9
前へ
/9ページ
次へ
 オイラはフェンスを見上げていた。登るのは大変そう。  そして、下に隙間が無く、オイラの侵入を拒んでいた。  それは、存在を否定された気分だった。  今まで、オイラなりに店の事を考えていたつもりなのだが、空回りだったのだろう。  猫が持て囃される時代で、猫駅長まで登場する昨今、オイラも客に愛想を振り撒いては、店に貢献しているつもりだった。  勿論、餌を確保する目的もあったが、この場所が好きだった事も大きい。  バイト君が、常連さんが、オイラは好きだった。
/9ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加