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それでも。 「憂鬱だ憂鬱だ、あー酷いっ」 呟きながら前に倒れこむ。 公開してから、提出期限を過ぎると、その公開設定は固定になってしまうのだ。 それが一番嫌なことだ。 公開された物は新着順に上から整理されていく。 だから、みんなは、ギリギリに提出するんだけど、それでも一番遅く出す人にはならないように注意している。 だって、次の提出物を書く時に参考にされたらたまらないからね。 見極めが大事なのだ。 その点、今隣でハムのいい匂いを漂わせている和樹は上手い。 いつもクラスの中盤くらいの時にぶっ込んでくる。 しかも、頭もなかなか良いようで、文に、何というか、クセがなくて、当たり障りがないのだ。個性がなくて、のっぺりしている、的な。 だから目立った点数ももらわず、粛々と生きているのだ。やるよなぁ。 「…何で宿題がこんなのになっちゃったんだろ」 「そんくらい教わったろぅが」 「口をフガフガさせながら喋るな」 確かに、入学した時にそれは聞かされた。と言うより、入学以来、ずっと同じことを言われ続けている。 「…皆さん、いいですか。これからは、AI、すなわち、ロボットの時代がやって来ると言われています。彼らは人間をはるかに超えた精密さをもって、色々な業界で活躍するでしょう。ただ、それでは人の仕事は衰退していきます。ここら辺は聞いたことがあるでしょう?だから、この学校が目指すのは、『創造的な子供』です。…どういうことかと言いますと、こう、ただ物事をやたらめったらに記憶したりするんじゃもう通用しないから、0から何かを生み出せる人になりなさいというわけです。はい、そこで我が校は……」 と、そういうわけなのだ。 ちゃんと 学修要覧はこなしているんだけど、家庭学習ってのが、全てこれだ。あー、勘弁してくれっ!
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