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もう一つ気付いたことがある。
これらのアカウントは、一応、初めての相手には敬語を使っている。
だけど、わたしへの【リアクション】には、一切、敬語がなかった。
「もしかして……」
わたしは、自分が投稿した過去の記事を読み返した。学生だと分からないよう、「授業」とか「宿題」とか「委員会」という単語は使わないようにしている。それから、予約機能を使って深夜に記事を投稿することもある。そういった小細工が無意味になるような、読めば一発で「7nao=学生」と分かってしまう記事は、どこにもなかった。
じゃあ、どうしてこいつらは、わたしを自分たちと対等のように――――自分たちと同じ『学生』だということに気付いたんだろう?
***
【アクセス解析】は、パソコンでしか見られない。
だから、その日一日、わたしはできるだけスマホを触らないようにして過ごした。本当は、昨夜のうちに届いたであろうイラストへの【リアクション】を見て、一人一人に返信の【リアクション】をしたかったけど、ぐっと堪えた。
休み時間は、とにかく友達としゃべり倒して過ごした。放課後になるまでの間、わたしは自分のアカウントのことを本気で忘れていた。ところが、帰りの電車で、うっかりスマホを手に取った瞬間、昨夜のことを一気に思い出した。今、自分のアカウントがどうなっているのか、【アクセス解析】はどうなっているのかが、すごく気になって仕方がなかった。
慌てて英単語帳を広げてみても、単語は一個も頭に入ってこない。家への最寄り駅が近づくたびに、そわそわして、単語帳と窓を何度も見ていた。
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