その時――そのルームでは…

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 東京にあるパティシエの専門学校に通う、温子(あつこ)(21)は、土日と学校が済んでから、N区の『Gカラオケルーム』でアルバイトをしていた。  10番ルームまであり、それぞれ六帖ほどの広さだった。サークルや家族連れの客が多く、温子は楽しく仕事をしていた。  彼女の場合、接客が主な仕事で、軽食やドリンク系の注文にも応じた。上がるのは午後八時頃だった。  実は温子は歌をうたうのも好きだったので、空きルームがあると、こっそり入ってカラオケを利用したりしていた。  ――が、その店には、いつの頃からか都市伝説があった。  それは、水曜日の夜――10番ルームで五曲以上歌うと、ヤバイ事になるという……。 「それって、どんな……?」  温子は()いた。
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