アザミ

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三人で全ての花を運び終えると、治人さんは食事をとるため店の奥へ引っ込む。 私と店長はその間花を店に並べる作業を行う。 食事は順番にとるのだが、時間帯は店の状況で変わるため友人とランチなど、できたことがない。 近くに勤めている友人たちは、初めこそ誘ってきたものの、断ることが毎回のため最近では誘われることもなくなった。 特にこの月は退職や卒業とお祝い事が重なるから特に忙しくお昼はかなりずれる。 「胡桃ちゃん、僕が渡すのは全部予約分だから全て包装紙で巻いていって」 「はい」 予約品の花は使ってしまわないように、包装紙に巻きとっておくのだが、包装紙には花の名と使う日、そしてお客の名を小さく記す。 私がペンを手にすると、店長が「まずは、はい」と花を渡してきたので、私は包装紙で花を包んだ。 その作業を行いながら、私は彼を盗み見る。 店長は治人さんと違い、見える部分に汗を全くかいてない。 涼しげな横顔がとても素敵だ。 それに、店長が段ボール箱を開けて花を取り出すときに二の腕が力んで膨らむのも素敵で、彼の力強さを感じ、私の胸の鼓動は大きく跳ね上がる。 あの腕に抱き締められたらどんな感じなのだろう。 なんて、想像する私は彼限定で変態なのかもしれない。 「よしこれで全部かな」 「はい」 彼は私が包み終えたものをキーパーの奥に仕舞っていく。 「店長、残りの花は入れていっていいですか?」 「いいよ」 次に予約でない花を私は水切りしながら店内に並べるのだが、一番はじめに手にとった、赤く小さな枝つきのパイナップルを見て「店長、パイナップルが入ったんですね」と言った。 花屋の花は何でも通常の出回る時期より早い。 パイナップルもそうだ。 「そうなんだ、早いよね」 「久しぶりに見ました。可愛いですね」 「うん」 花屋が扱うのは花だけではない。ハロウィンの飾りカボチャや十五夜の栗の木、そしてアレンジによく使うリンゴやベリーも入るが、どれも可愛くて好きだ。 私たちが作業する中、もう一人の従業員が出勤してきた。
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