ブーゲンビリア

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そして花材は彼女らしい淡いピンクを選び、ミニブーケを作り始めた。 「すごいね、胡桃ちゃん上手。可愛い……」 作り終えると、彼女は喜び微笑んだ。 「ありがとう、こんな感じでいい?」 私がブーケを一回しすると、彼女は「うん」と言って手を合わせた。 その仕草も可愛らしい。 「よかった、メッセージカードはつけますか?」 「ううんいいよ、直接渡すから」 「じゃあこのままでいいかな?」 「うん」 蘭子ちゃんに花束を渡す際、彼女の左指に煌めくものがあるいることに気がついた。 その存在に私の視線は集中する。 「蘭子ちゃん……」 「え?」 左薬指に指輪をしているということは彼女は結婚しているのだろうか。 しかしそれを尋ねたかったが、彼女は店の時計を見て慌てた顔をした。 「ごめん、胡桃ちゃん。私急がなきゃ、また会おう」 「え、う、うん」 忘れていたが、急ぎの客と店長が言っていたことを思い出す。 蘭子ちゃんは支払いをすませると慌ただしく店を出ていった。 しかしまた会おうと言われたが、連絡先を知らない。また来てくれるということだろうか。 私はそれを期待して密かに笑んだ。
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