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今年の私の誕生日を祝ってくれるのはみなみだった。
彼女は今夜も店の前で待っていてくれたので、先日と同じ店で夕食を食べた。
彼女に会えなかったなら、きっと寂しい誕生日だったに違いない。
店長には今年も誕生日のことは触れなかった。
そんな気はしていたが、やはり悲しく落ち込んでいたところに、みなみが現れてくれたので、とてもありがたい。
みなみは店に入るとまず、私に「誕生日おめでとう。これ、プレゼントなの」と言って、小さな包み紙を差し出した。
彼女と私は短大の頃からプレゼント交換をしている仲だ。
「わ、ありがとう。嬉しい……開けていいの?」
「うん、開けて開けて」
みなみがそう言ったので、私は包み紙を開けた。
中には花の形をしたイヤリングが入っていた。
「わ、可愛い……」
「それ、胡桃っぽいと思って」
「嬉しい。ありがとう。みなみ」
私は今どき珍しいタイプだが、ピアスを開けていない。
「つけてもいい?」
「うん」
私はイヤリングを早速着けると、みなみは手鏡を出してくれた。
さすがは気が回る友人である。
鏡に映る私の耳には、花模様がついて綺麗だった。
「可愛い……」
「よかった喜んでくれて」
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