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すると須賀原さんは私に「くるみちゃんは南田さんと同じ年?」と聞いた。
「え、胡桃?」
そのため、私はいきなり名前で呼ばれることに驚き、目を大きくした。
「ごめん、南田さんがそう呼んでたから。名前聞いてないし」
大人の男性とはそういうものなのだろうか……
私は戸惑いながらも「ふ、深田胡桃です」と控えめに言った。
私は深田さん、と名字呼びをして欲しかった。彼を狙うみなみの気持ちを考えると、名前で呼ばれることは気分がよくないはずだ。
「俺は須賀原優斗(すがはら ゆうと)です。くるみちゃんのくるみは漢字なの?」
「え、えぇ……」
「そう、可愛い名前だね」
「あ、ありがとうございます」
しかし名前で呼ぶな、とは言えずそのまま。
私はどうしていいかわからなかった。
それに、名字でお願いします、なんて言うのは逆に意識してるみたいで恥ずかしい。
「胡桃ちゃんはあの花屋に勤めて長いの?」
すると、須賀原さんは私にまた話を振った。
「え、はい。三年半です」
「三年半か、だからあんなに上手なのか……」
「そ、そんな……」
お客に上手と言われるのは嬉しいことである。
しかし、みなみの手前素直に喜べない。
まだ始まりだが、私と彼しか話をしていない感じだ。
「み、みなみ何か頼まなくていいの?」
私は焦り隣に目を向けた。
ごめん、という思いを込めてみなみを見つめると、彼女は特に気にしていないようで口の端を上げられる。
そのため、怒ってはいないようで安心した。
「そうだね。飲み物頼みません?」
みなみは私を見つめたあと、男性二人のほうを見た。
そのため話の流れは変わる。
みなみはさすが気の利く女子という感じで、ドリンクの載ったメニュー表をテーブルに広げる。
すると須賀原さんが「そうだね……胡桃ちゃんは何飲むの?」と言った。
彼の呼び方はやはり変わらないまま。
しかも話を振られてドキリとした。
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