ラズベリー

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「あ、ボールは……?」 優斗君の手にはボールがない。すると、彼は人差し指でボールをさし「あそこに置いたよ」と、言った。 「あ、ありがとうございます」 「いいよ。それより……」 「……はい」 きっと、はる君のことを聞かれる。 そう思っていたが、優斗君は「靴履き替えたほうがいいよ」と、言った。 「え……?」 「俺はもう履き替えた。胡桃も履き替えて」 「はい」 優斗君は私を好きなはずだ。 それなのに、はる君が気にならないのだろうか…… ただの友人だと思っているのか。 しかし、もし私が店長といて、同じことに遭遇したなら、聞いてしまいそう。 私は不思議で優斗君を見つめるが、「どっちから投げようか」と、笑顔で言った。 「ゆ、優斗君からで……」 なぜだろう。 私は尋ねて欲しいのだろうか。 少し胸の内がもやがかった感覚を覚えた。
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