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はる君は、やはりこちらを見ていたみたい。
私に手を振ってきたため、私もぎこちなくだが、振り返す。
元カレに、手を振るのは不思議な感じだ。
しかしすぐ、隣からの視線を感じ、手を下ろした。
私の視界は、はる君を映すのをやめた。
「優斗君……」
優斗君は、すぐ隣に座ると、私の瞳を覗き込む。
彼の瞳の色は穏やかでない気がした。
それは、罪悪感のようなものが胸にあるからだろうか……
「ねぇ、あの男はただの友人じゃないよね?」
「……え?」
優斗君の目が哀し気に細められた。
胸の奥が強く締まる感じがする。
「ごめん、聞かないって決めてたのに……」
無言で彼を見つめた。
どうしよう……
やはり、優斗君は気になっていたのだ。
「彼氏だったんじゃない?」
「……はい」
すると、優斗君は「そっか」と、言って困ったように笑った。
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