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今、はる君に会ったのは、また同じことを繰り返さないように神様が会わせてくれたのかもしれない。
はる君のように優斗君も悲しませたくないとさえ、思う。
今になって、はる君の真実を知ったことにも意味があるのかもしれない。もしかすると、私を制しているのかもしれない。
「そう。じゃあ、俺は好きになってくれるように頑張るだけだ」
優斗君の答えは意外すぎた。
「……え?」
私の口はまぬけにもぽかんと開いて、彼を見つめた。
「よかった。胡桃が忘れられない彼氏じゃなくて。彼には悪いけど、俺は嬉しい」
やはり優斗君は、私が予想もしないことを考える人だ。
「でも……」
「彼と見つめ合ってるから焦った。ボウリングに連れてきたこと、めちゃくちゃ後悔したよ……」
それは、私とは違う、後悔……
優斗君は本当に焦っていたのかもしれない。
大きくため息をはいて、身体を椅子の背に合わせ上を向いた。
それからまた、「よかった……」と、言った。
どうして優斗君は、幻滅しないのだろう。
安堵されるなんて、思いもしなかった。
私は優斗君の横顔を見つめた。
まだ好きになれるかもわからない、その横顔はやはり綺麗だ。
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