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すると、優斗君の顔がその体勢のまま私を向いた。
「……変なこと聞いていい?」
「な、なんですか……」
変なことと聞き、緊張しない人はいない気がする。
胸の奥が、縮むような変な感覚を覚えた。
「もしかして、キス、はじめてだった?」
「……え」
私の頭の中は、一気に植物園で不意にされたキスに巻き戻される。
それと同時に、一気に顔が熱くなった。
唇までも、熱を持つ。
「ごめん、変なこと聞いて……」
私は小さく首を横に振ると、彼が身体を起こして、私を見つめた。
「ごめん、やっぱりいいや……」
「……え?」
「ごめん。ほら、胡桃の番だよ。さっき胡桃見てなかったけど、俺全部倒したんだ」
優斗君は無理やり話をボウリングに戻した。
「すごいですね……」
「うん、今日はほんと、調子いいみたい」
「わ、私も投げます」
私が席を立つと、彼は「一緒に投げる?」と、言った。
「ひ、一人で平気です」
私は首を横に振った。
それは激しく振ってしまったが、許してほしい。
とても、平常心ではいられなかったから……
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