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主に菓子類だが、いくら甘党の彼でも一人では消化できない量だ。
「あまり買いすぎてもいたみますよ?」
「一緒に食べようと思って」
私は困ってしまう。
だって、一緒に食べようという相手は私だからだ。
絶対に、今日と明日では食べきれない量に、私は悩む。
しかし、彼は「そういや野菜買ってないね」と、話を変えた。
何も答えなかったということは、肯定と捉えられたかもしれない。
しかし、否定もしなかった。
もう、よく自分の心がわからなくなっている。
私は、どう思ってるのだろう……
私たちは野菜の並ぶ通路まで歩くが、優斗君が途中買い物客にぶつからぬよう、何度か私を彼側に寄せてくれた。
たぶん、本当なら野菜側から買い物をするが、私も彼も野菜をほとんど買うことのないためか、店内を回る方向が逆になっていたのだと気づく。
そんな中、カレーに入れる定番の野菜をカゴに入れていった。
彼に何か変わったものを入れるのか聞いたが、普通のカレーを食べて育ったようで安心する。
だが野菜の側に、オレンジが積み重なって置いてあるのが目に入った。
思わず足を止め、凝視してしまう。
「胡桃?」
優斗君の心配そうな声が上から降り、私はハッと彼を見上げた。
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