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すると、はる君は「またゆっくり話したかったのに、全部話しちゃったな……」と、笑った。
たぶん、私に気を遣ってくれた、そんな顔だ。
「話してくれてありがとう」
私がはる君に言ったとき、優斗君の声が「胡桃?」と、割った。
優斗君が戻ってきたのだ。
優斗君を見上げると、やや不審な顔をして、私とはる君を見つめている。
すると、はる君は「お邪魔してすみません、胡桃ちゃんと高校時代に友人だったものです」と、答えた。
「……そうなんですね、はじめまして……」
「はじめまして。あ、胡桃ちゃん、俺行くね。会えて嬉しかった。じゃあ失礼します」
はる君は礼儀正しく、深々と優斗君に頭を下げ、反対奥のレーンのほうへ行ってしまった。
はる君は男友達と来ているようだ。
私は女子校で、彼は隣の男子校に通っていたのだが、彼はいつも、たくさんの男友達といた。
あの頃、はる君は同性から好かれるタイプだと思っていたが、今も、変わらないようだ。
私ははる君をしばらく見つめていたが、優斗君がすぐ隣に腰を下ろしたことに、ハッとした。
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