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彼の温もりが胸をも刺激する。
なんだか、とても苦しい……
「……留実ちゃ……いえ、彼女が優斗君に頼んだんですね……」
「そうだけど、俺も気になったから……」
「……」
あまり優しい言葉をかけてこないで……
そう思うのに、喜んでいる私もいる。
「この話はあとでしよう、それよりほら、熱測って。あまり高いなら病院に行ったほうがいい」
「……はい」
彼は私の頭から手を離し、キッチンへ行ってしまう。といっても、狭い部屋だから丸見えだ。
彼は「鍋、借りるね」と、言ってお粥を温め始めた。少しキッチンの汚れ具合が気になったが、もう遅い。
前に来たときに、見られているだろう。
それがひどく昔に感じるが……
彼がお粥を温めるより早く、私の体温が測られた。
小さな電子音なのに、彼は敏く反応する。
それを脇から取り出し確認したと同時に、私の横に立った。
「見せて」
彼にそう言われたが、見せたくなかった。
ひどく、高い熱だったのだ。
「……だ、大丈夫でした」
しかし彼は簡単に奪ってしまう。
「あ……」
「わ、高いじゃん……大丈夫……?」
体温計の数字は40度を越えていた。
こんなに高く出るのは、はじめてだ。私も正直驚きだ。
「はい……」
「インフルエンザだったりして」
「え、もう春ですよ」
「5月くらいまでかかるよ。ご飯食べたら病院に行こう」
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