プラタナス

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身体はだるいが、なんとなくすっきりしている自分がいた。 優斗君のことを除いてだが…… 私は部屋に入ると、とにかくベッドを目指した。 着替えや洗顔と、先にしないといけないことは後回しにして、ベッドに入る。 たぶん、ひどく不調だったに違いない。 うつ伏せに横になるとすぐ、私の瞼は重くなり意識は暗くなった。 夏の風邪は治りにくいと聞くが、春はどうなのだろう。 私が眠りから覚めたのは、翌日のお昼12時近く。寝すぎたくらい寝たはずだが、身体はだるいままだった。 それにひどく喉が乾いていた。 ぼんやりとした頭で思い出すが、冷蔵庫にはほとんど何もなかったはず。 最近はやる気がおこらず、弁当も手抜きをして冷凍ものばかりに頼っていたし、夜は惣菜ばかりだった。 飲み物も、その日のぶんしか買ってない。 今の風邪は不摂生な生活も手伝って、おこしたのかもしれない。 それでも買いに行く元気はなく、たしかカップスープの素があったのを思いだし、重い身体を起こし、キッチンに立ち電気ケトルに水を入れた。 ひどく水道の水が冷たい。 身体がぶるりと震えるのは、熱があるためか…… 電気ケトルをセットして、ソファに倒れ込むように座るが、やはり寒かった。 こういうとき、家族が近くにいてくれたら全然違うだろう。 面倒だと思っていた母が、少し恋しい。 きっと怒られるだろうけど、それでも会いたいと思ってしまう。 不調は人を涙もろくさせるのだろうか…… 目に涙が浮かぶのを感じ、やはり瞬きをするとそれが零れた。 でも、今日は抱き締めてくれる人がいない。 前はたしかに、私を宥めてくれた温もりがなかった。
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