カーネーション

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私は何て返していいのだろう。 そう迷っていると、「くしゅっ……!」と、いうくしゃみが二度出た。さすがに身体が寒いと訴えている。 「大丈夫?やっぱり風邪引くよ」 「だ、大丈夫です。今から服を着ますし……」 「え……?まだ服も着てなかったの?」 「はい……。でも今から着ます」 もう大体身体からは水滴が消えているので、私は左手で左耳に携帯を当てながら、洗濯機の上に置いていたパジャマを取りに移動した。 その間も電話は繋がっている。しかし彼は無言だ。 私はとにかくショーツを着けて上のパジャマをボタンをせずに羽織り、「すみません……」と、謝った。  「いや、俺は全然、いいんだけど……」 しかしそれはあまりよくないような言い方に聞こえる。するとそのとき、彼の電話の向こうから駅のホームの音が聞こえてきた。 「あ、あの、今駅ですか?」 「……うん、駅に着いたとこ」 言いにくそうにそう答えたのは、私のためだろう。 「そうですか……」 もう電話で話すのはこれまでだ。 私はとても寂しさを胸に感じていた。それは声にも出ていたはず。 「ねぇ、少しだけやっぱり行っていい?すぐに帰るから……。なんか今、すごく会いたい」 その台詞に私の胸は強く掴まれるよう。 「……は、い……」 私がそれを受け入れると、彼は一瞬黙ったがすぐに「じゃあ待ってて」と、言って電話を切った。
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