ストック

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最近の彼は普段通り優しいのだが、ふと顔を悩ませるときがある。 それでも私は彼に何も尋ねず、彼も何も言わなかった。 今日は土曜日、彼が泊まりに来る日であり、私はいつもより少し早く起きて部屋を片付けて家を出た。 合鍵を渡しているから彼は家で待てるというのに、いつも店に迎えに来る。 きっと今夜も彼は店に迎えに来てくれるだろう。 そのため土曜日は服装を気遣い可愛らしくするようになった。 作業重視なので、あくまでも少しだけ。 今までなかった変化も今、私にある。 土曜日ということもあり、慌ただしく時が進む中、治人さんが配達で店を出て私は店長と二人きりになった。 店長と二人きりになることはよくあるが、昔ほどときめかない。 たぶん、優君の存在があるからだろう。 店の時計が15時を過ぎる頃、店長が「胡桃ちゃん、16時に予約の花束は作った?」と言ったので私は慌てた。 「あ……まだです、すみません」 お客が重なり予約の注文分のことがすっかり抜け落ちていた。 「そうなの?急いで作らないと……」 「はい……!」 私は今していた作業を中断し、忘れていた作業に取りかかる。 電話注文だったのに、もう一時間もない。もし早めに来たのなら、お客をがっかりさせるだろう。 店長が花選びを手伝い、私が花束を纏めラッピングに取りかかる頃、なんとお客が来てしまった。 新規のお客だったので、私はひどく焦る。しかも若い男性客で、気分を害されるのではと少し怖かった。 私はまず、まだできてないことを謝ろうとしたが、店長が先に「申し訳ございません、今ラッピングをしております。彼女さんとの記念日とお聞きしておりましたので、お花をサービスさせていただきました」と、言ってくれたため、お客は穏やかに笑った。 さすがは店長と、心で思いつつ店長に手伝ってもらいながら、花束を作り終えお客に渡すことができた。
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