コットンキャンディ

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昨夜はあまり寝られなかったのに、翌朝は携帯の目覚ましが鳴る前に目覚めた。 外はまだ暗いが、先週からチェックしている天気予報は晴れのままで、しかもシンガポールの天気も確認したが、晴れだった。 花の持ち運びには天気の具合は大切で、私はホッとした。 冷蔵庫のブーケの状態もよく、私はますます安堵する。 メイクや着替えを済ませると、優君がよく、好きだと言ってくれていた髪の毛を後ろに結い、大切に仕舞っていた指輪を左指に着けた。 「……待ってて」 お願いだから、ちゃんと話ができますように…… 早すぎた目覚めのせいで時間が余り、私はスーツケースの中をもう一度確認し、ブーケをカゴの中に丁寧に入れ、空港へ向かった。 朝の電車は避けたく、予約していたタクシーに乗り込む。 道が混んでいることも想定し、だいぶ早く家を出た。 それにシンガポールまでは七時間ほど。ブーケの状態がとても気になる。 シンガポールの気候は暖かいと聞いているので、不安ではあるが、たっぷり水を含ませた自身を信じ、保冷剤に守ってね、と願うしかない。 タクシーの運転手のおじさんは気さくな人で、私にはじめ色々と話しかけてきた。 私はどれに対しても答えてはいたが、本当のところあまり身に入っておらず、それでも返事をしていたが、そのうち声がかからなくなった。 それくらい緊張していた。 空港へは予想通りの時間に着き、私はスーツケースを引き、カゴを右手で抱え、空港内へ入った。 海外へ行くのは高校のときの修学旅行ぶりだ。行き先はアメリカと違ううえ、あのときは友人や先生がいたため不安より楽しさが勝っていた。 しかし今日は一人…… 小心者の私は国際線の搭乗手続きをするのも不安だった。
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