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花屋の休みは不規則で、旅行などほとんどしていなかったため、飛行機に乗るのもかなり久しぶりだ。
シンガポールへ飛ぶ便については、事前に予約はしているうえ、何度も調べてきたけれど、実際目の前の電子掲示板に時刻と便名が乗っていても不安になるもの。
それでも搭乗手続きをするために、自動チェックイン機に並び、ネットで何度も確認したやり方でチケットを発券した。
ちゃんと発券できたことに安心したが、荷物の預け方に、次に悩む。
私は確認するためにも、カウンターに立つ女性スタッフに聞き、スーツケースは預け、ブーケのカゴは手荷物として持っていきたいため申告書を書いた。
それでも、保安検査場でひっかからないか不安ではあったが、その不安は的中せず、無事に通過することができた。
搭乗するまでまだ時間はある。
私は搭乗口の側にある椅子にかけた。
無事にここまで来れた安心感と、まだこれからの緊張と……
意識を落ち着かせたい。
シンガポールに着いたら、またこれと同じことを逆さに繰り返すのだろう。それも不安である。
それなのに、優君は一人で行ってしまったのだ。
私は簡単に考えていたけれど、きっと不安はあったはず。
見送りには会社の人が来る予定とは聞いていたけれど、それでも緊張していたはずだ。
それなのに、私は駆けつけなかった。
今思うと、仕事を無理にでも休んで行ってあげればよかったと強く思う。
彼は、どんな気持ちだっただろう……
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