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優君と私は食事を摂り終えると、先ほど約束した写真を撮ることにした。
たくさん場所はあったけれど、彼がはじめに指したレインツリーの下で、彼と頬を合わせ画面に向かい携帯のカメラで撮った。
なんだかカップルっぽいなと感じ私の顔は、はにかみ気味だったけれど、彼は「可愛い」と言ってくれた。
それよりも、私は彼の顔を写真に残せたことがたまらなく嬉しかったけれど、胸に秘めておいた。
私たちのはじめての思い出の写真は、大切に保存しバッグに仕舞う。
それから私たちはゆっくりと、彼の家に戻るために同じ道を歩き始める。
すると、彼の家までもう少しというところで、私はホテルを予約していたことを思い出した。
そのため、思わず足を止めてしまう。
「……胡桃?どうかしたの?」
彼が私の顔を覗くが、その顔は不思議そう。
「優君……私、ホテル予約してたの忘れてました」
「……え、予約してたの?」
「はい……入れてもらえないかもって不安だったので」
私が小さな声で言うと、彼が「そうだったんだ……そんな心配いらなかったのに」と言った。
「どこのホテル?」
「たぶん、優君の家の近くです」
ホテルのことはネットで調べ、なるべく優君の家の近くを予約した。土地勘がないので、彼の家の近くのほうが安心できると思ったのだ。
「名前、わかる?キャンセルの電話しないと……あ……」
彼は何かを言おうとしたが、途中で言葉を止めた。
「……え?」
「せっかくだから、そこに泊まろうか」
「え?」
彼の提案に、私は戸惑う。まず思ったのは、チェックインの時間はとうに過ぎているということだった。
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