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そもそも私を応援してくれている優奈さんが、新しい彼女とのツーショット写真を見せるわけがないのだ。
よく考えてみるとわかることなのに、好きな人のことになると不安になるよう。
「どうかしたの、それが?」
「い、いえ……」
私は首を横に振ったけれども、彼に話すようにしむけられた。
全てを知った彼はやはり私が見た写真はいとこだということを教えてくれた。
私が二度目の安堵を味わったあと、彼は「胡桃にヤキモチ妬かれるのって、胡桃には申し訳ないけど、嬉しい……」と言い表情を柔らかくした。
それから私の頭の上に、ゆっくりとキスを落とす。
私はもちろん何も答えられない。
すると彼が「この姫胡桃、昨夜ようやく袋から取り出したんだ。名前を知ってからはますます辛くて、触れなかったけど……
でも開けてよかった。これ、本当に幸せのお守りだったみたいだね」と言った。
「……え?」
「だって胡桃が来てくれた」
「あ……」
私は後ろに立つ彼のほうに身体を向けていたけれど、顔を咄嗟に俯けた。
あまりにも嬉しそうな顔をされ、その理由が私ということで、とても恥ずかしくなった。
すると彼は私の横に座り、顔を覗き込もうとしてくる。思わず照れで身体がびくつく。
「……胡桃、こっち向いて」
「……」
彼に言われては向かないわけにはいかず、私は上目遣いに彼を見つめた。
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