ラナンキュラス

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そう言った私の声もとても大きい。そのため、彼も少し驚いたよう。 「でも……渡すには下手すぎて恥ずかしいんですけど、少し早いバレンタインデーに……と、思って作りました」 もし渡すとしたならば、違う形で渡したかった。 しかし、彼に違う人への贈り物だと思われるのは嫌だった。 私が事実を伝えると、彼は少しの間黙ってしまう。 「……へ、へんてこになってしまって……なんだか、ごめんなさい」 私はなんだか申し訳なくなり、謝った。 もしかすると彼は、下手くそすぎる手作りチョコを目に入れたことで、言葉をなくしてしまったのかもしれない。 「……すごく嬉しい」 「……え?」 彼の声はちゃんと届いた。 しかし、見た目の悪いチョコを目にしているはずなのに、彼の表情がいかにも嬉しそうに緩んでいるため、私はすぐには信じられず、聞き返してしまった。 「昨夜、作ったの?」 「あ、はい」 「ありがとう、胡桃……」 彼はチョコを手にしたまま私へと歩み寄る。 そして、私をきつく抱き締めた。 「嬉しい、ほんと……ありがとう」 彼の声も、回す腕の力強さにも心がこもっているのが伝わる。
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