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そのため恥ずかしさいっぱいで、私は無意識に彼の服を袖を掴んだ。
「……はい」
彼の質問に対して、否定する部分はない。
しかし私の声は小さなものに逆戻りだ。
すると彼は頬を緩め、私にもう一度優しいキスをした。
「開けるね」
今度の私は首を縦に振る。
「ありがとう」
彼はそう言うと、前屈みにしていた腰を正し、顎を支えていた手は再びチョコの袋へと戻る。
彼の骨ばった綺麗な指がチョコを取り出すために、ラッピング袋を結っていたリボンを解こうと手が伸びた瞬間、私は緊張で息を飲んだ。
しかし、彼は手を止めて、リボン結び目のトップにある飾り花に触れた。
それはとてと、優しい手つきで。
リボンのトップにつけた花は、黄色のラナンキュラスの花を私が押し花にしたものだった。
「この花は、胡桃の手作り?本物だよね?」
「あ、はい。ラナンキュラスです」
「ラナンキュラス……?」
「はい」
あまり花に詳しくない人はあまり聞きなれない花の名かもしれないが、ラナンキュラスとは、花びらが幾重に重なり、バレエのチュチュの様にふんわりと咲く、綺麗で優美な見た目なの人気が高い花だ。
そのため、アレンジや花束に入れると、華やかさが増す。私も大好きな花だった。
すると彼は私に「この花の花言葉は?」と、聞いた。
「黄色のラナンキュラスは優しい心です。優君にぴったりだと思って……」
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