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彼の声には心がこめられている。
「家に着いたら、すぐに写真を出して飾るよ」
彼なら本当に、何より先に写真を出しそうである。
そのため私は「ありがとうございます。でも、帰ってすぐじゃなくてもいいですよ……」と言い、はにかんだ。
「うん……」
彼が微笑む顔を見て、私の身体に確かな安堵感が広がる。
すると彼は「せっかくだから、このリボンも入れられない?」と言って、ラッピング袋を包んでいるリボンに触れた。
フォトフレームの中にはもう入れ込む余裕はない。
「……え、あぁ」
そこで私はリボンを解き、彼の手にあるフォトフレームを抜き取り、四角の角下に緩やかに斜めにかけて見せた。
「こんな感じにとめて飾るくらいしか思い付かないです」
「じゃあそうしてもらおうかな」
「いいんですか?」
「うん」
私は彼の気持ちが嬉しくて、胸がいっぱいになる。
そのため、私自身がチョコの袋を開けてしまったことに気づいていない。
「あとでつけますね」
「うん、ありがとう」
私たちは、小さな約束を交わす。
すると次に、彼が開いた袋を覗き、中に手を入れチョコを取り出そうとした。
緩やかだった私の心は安堵する前に逆戻りする。
とうとう彼がへんてこなチョコを手にしたのを目にすると、ますます焦った。
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