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きっと店でもらったことが面白くないに違いない。
それがわかったため、すぐに「留実ちゃんももらっていきましたよ、留実ちゃんはお母さんにあげるって喜んでました」と言って、無理矢理話を逸らした。
「へぇ、あの子元気?」
「あ、はい」
「そう、よかった」
優君と留実ちゃんは、私が風邪をひいたときに話をしたときから、彼が店を訪れると話をする仲になった。
しかし優君のよかった、は心から出ているものでない。
「優君」
「ん?」
「好き」
私は彼の唇に自分からキスをした。
もう彼とすれ違いたくない。
「……胡桃」
彼の声はもう不機嫌でないのがわかる。
なぜなら彼は「もう一回して」と言って、瞳を閉じたから。
「はい」
私は今度はゆっくりと唇を近づけキスをした。
すると優君の手が私の頬を掴むように触れると、力を入れられ彼のほうへ寄せた。
私は優君の斜め後ろに立っていた。
そのため私たちの間にはソファの肘おきがあるのだが、彼は反対の手で私の身体を彼のほうへ一気に寄せたので、私は自然と彼の上へ倒れた。
二人の距離が近くなる。
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