カサブランカ

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きっと堂々と口にできるようになるときはもっと回数を重ねたあとだろうか。 それを考えると、恥ずかしい。 褒められる自分を少しも想像できない。 それでもシンガポールにいた五日間で身体を繋げたのは2度だけだった。 この日の夜は我慢してた、と言っていたけれど、彼は私の身体を気遣ったのかかわらないが、私は抱き締められて眠っただけだ。 彼の腕の中は温かくて幸せだったが、ほんの少しもやっとした気持ちが胸にあった。 だがそのことは彼には言えぬまま、翌日には彼に植物園に連れて行ってもらった。 私が勝手に優奈さんからもらった実物の蘭の花を見たときは感動した。 思わず涙がこぼれた私の頬を優しく拭ってくれた優君の顔も、なんだか切なく見えた。 もう絶対にすれ違いたくない。 私は彼の手を強く握りしめると、優君が私に柔らかく笑んだ。 まるで私の心を読んだよう。 それから私たちはゆっくりと園内を歩いた。 その夜は彼の家に泊まったが、また抱き締められて眠っただけだ。 たくさんキスはしたけれど、私を抱くことはなかった。 そのためやはり胸がもやっとしたが、何も言えず翌日になる。 その翌日は彼が行ってみたかったという動物園でデートをした。
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