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優君には何度か抱えられたことはあるが、久しぶりのことで、私は下に落ちぬよう彼の首に回す腕に力を入れた。
それでも優君はベッドの側で足を止めると私を優しくベッドの上に座らせたため、私の身体は一気に力が抜ける。
しかし一瞬で彼に倒されてしまった。
それも彼も一緒に倒れてきたため、戸惑う。
私の上に彼が覆い被さるも、体重はかけられていないため、重たくはない。
その代わり、心臓が爆発しそうなくらい激しく音を立てる。
「ゆ、優君……」
私は戸惑い彼を呼んだ。
先ほどはプールに行くと話をしていたはずだ。
「怖い……?」
「え……?」
「俺は胡桃が誕生日プレゼントって言ってくれて嬉しかった。けど、胡桃が怖いならやめるよ」
彼の瞳は真剣だ。
私はそこでハッとした。
彼は私を求めようとしている。
瞬きもせずに優君を見つめていると、彼は困った顔をした。
「ごめん……」
そのうえ謝られてしまったことで、勘違いに気づく。
私はホテル代を支払うことがプレゼントだと思っていたが、彼の認識ではそうでなかったのだ。
意味がわかり一気に顔が赤らむ。
私はずっと大胆なことを口にしたように思われていたのだ。
恥ずかしくて顔をシーツに埋めたい気分だった。
「やっぱりプールに行こうか」
きっと私が黙っていたためだ。
優君は私の上から身体を退かし、上半身を起こしてしまう。
だから私も反射で身体を起こした。だが、それだけではない。
「こ、怖くないです」
私は彼の腕にしがみついた。
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