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心臓がうるさい。絶対優君にも聞こえているはずだ。
私はその音を聞かせたくなくて「怖くないです優君だから……!」とやや大きめの声で言い、さらに腕を掴んだ。
そのため私の様子はまるで彼に挑むようなものになる。
きっとそれがおかしかったのだろう。
優君は目を丸くしたあと、小さく吹き出した。
本当のところ、密かに彼とどんな雰囲気の中ベッドに入るのだろうと想像していた。
昨晩寝てしまったけれど、今夜は絶対に一線を越えるだろうと思っていた。
だが、こんな状況は予想していなかった。
もっと色っぽい雰囲気で、彼とベッドに入るのだと思っていた。
経験のない自分が恥ずかしい。
「本当に……恥ずかしい」
私の心の声が漏れた。
「可愛いなぁ、もう……」
彼は気を遣ったのだろうか。
私は恥ずかしすぎることで下唇を噛み締め、上目遣いに彼を見つめたが、目を合わすのもできなくなってくる。
それは彼の瞳の色が濃く色づくから。
「もう怖いって言ってもやめてあげられないよ」
「……」
「平気?」
私は視線を合わせずに首を縦に振った。
すると優君は私の手を腕から解くと、軽く抱き上げ彼の膝に横向きにして乗せた。
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